2020年10月30日金曜日

オンラインで自主的学習者を育てる

 Looking to improve hybrid and remote instruction?  Consider studend-directed learning

大変な試練が降り掛かっている2020年だが、遠隔授業やハイブリッド授業への迅速かつ大規模なシフトもそのうちの一つだ。こうした教育モデルは従来からあったが、ソーシャルディスタンスに対処するためにこんなに短期間で導入するのは簡単ではない。

対面授業とオンライン学習を融合したハイブリッド型教育では、教室で先生と対面で授業を受ける生徒がいる一方で、テレビ会議を介してバーチャルで授業へ参加する生徒もいる。しかし、言うまでもない通り、2つの媒体を同時に使用して、全ての生徒が高い関心を持って積極的に勉強する授業を実施するのは難しい。

この他に、ハイブリッド型教育には生徒を交代で指導する方法もある。クラスを2つのグループに分けて、週の前半と後半で学校へ来る生徒と自宅で自主的に勉強する生徒を交替するのだ。こうした形で対面指導すれば、管理はそれほど複雑にはならない。しかし、クラスの半分が先生の対面授業を受けてから自宅で自主学習をし、残りの半分が先に自主学習をすると、クラス全体のニーズに合った授業や単元の計画を立てるのが難しくなるという意見もある。

その一方で、いまだ多くの学校が閉鎖され、多くの生徒や先生がオンラインですべての学習を進めている。春に非同期オンライン学習の欠点が分かったので、オンラインでもできる限り学校での一日を再現しようと努力している。先生たちは、通常の学校の一日とほぼ同じ時間で生徒とビデオ通話をしながら、休憩時間や昼食、授業の合間に短い休憩を挟んでいる。

全体的に今年は非同期学習が上手くいかないことを学校が学んだ。しかし、オンライン化を余儀なくされた学校が間違った方法で非同期授業に取り組んでいることが問題の本質だとすればどうしたら良いのか? また、現在のハイブリッド学習や通信教育が、より良い非同期教育によって改善されるとすればどうすれば良いのか?

ここで2つの考えを提示したい。


授業の教材は自主学習用を選ぶ


この春に発生した遠隔教育の問題の一つは、リソースのミスマッチだ。学校が閉鎖されると、教室での指導に慣れた先生の多くが、生徒が自宅で完結できるよう授業の資料や課題をオンラインで公開し始めたのだ。問題は、教室用のカリキュラムや活動はほとんどが生徒の自主学習用には設計されていないことだ。こうしたカリキュラムは、生徒が自主学習をする前に先生が関連する内容を説明し、先生が学習活動を通して生徒を指導することを前提に作られている。このような前提で作られたカリキュラムを前に、自主学習を強いられた生徒が苦労し、親が絶望的な気持ちになるのも不思議ではない。


非同期学習を効果的に実践するには、先生と生徒ともに自主学習用に設計された教材が必要だ。一つの選択肢として、学校や教育委員会は従来のカリキュラム会社制作の教材ではなく、オンラインコースプロバイダーやバーチャルスクールの教材を購入することを検討すべきだ。これらの教材は、魅力的なビデオやアクティビティで内容がカバーされている。さらに、生徒がアクセスできる学習プラットフォームを利用すれば、生徒は自分の学習の進捗状況や次に何に取り組む課題を容易に確認することができる。


また、生徒が自主的に学習するためのオンライン教材を先生が独自に設計することも可能だ。例えば、ライブ授業で学習内容をカバーするのではなく、EdPuzzlePear Deckなどのアプリを使ってオンラインの授業を作成し、それに対応する自主的な練習活動をデザインして、できるだけ生徒が自主的に学習できるようにする。このアプローチがどのように機能するかについては、過去に書いたスコット・ノルトクリス・ウォルターのような先生の例や、モダン・クラスルーム・プロジェクトの例が参考になる。


先生の役割を変える


自主学習用の教材とは、生徒が好き勝手に学習を進め、先生はそれを放任するものではない。実際、生徒がより多くの学習を自主的に実践するモデルでは、先生の必要性はこれまで以上だ。


先生が授業内容に対する専門知識と情熱を示し、その習得が生徒の目標や興味にどのように結びつくかを示せば、生徒の自主学習へのモチベーションは高まる。生徒が自主的に学習した内容をさらに深めるには、プロジェクトやグループディスカッションなどの活動を企画する先生の力が必要だ。また、小論文、科学実験、デザインプロジェクト、プレゼンテーションなどの活動を通して学習を実践するには、先生による専門的なフィードバックが不可欠だ。


最も重要なのは、学習の責任が生徒に重くのしかかるときに、先生が生徒を指導し、自主学習の基礎を築くメタ認知スキルを開発する必要があることだ。どの生徒も好奇心旺盛で、ビデオゲーム、スポーツ、趣味など、興味のあるトピックについて多くの自主学習を行っている。正規の学校教育で生徒主導の学習がうまくいかない理由の一つは、従来の学校教育では、生徒が生徒主導の学習とは正反対の学習をするように制度化されているからだ。すなわち、静かに座って大人の指示を待つことだ。年々年々、生徒は学習が適合性を身につけるものであり、好奇心や情熱とは切り離されたものであることを植え付けられる。従って、突然より自主的な教育が導入されると、生徒が学習を自分の手に取り戻すには先生の手助けが必要となるのだ。


最初のうちは、生徒には頻繁に助けと支えが必要になるかもしれない。先生が5分、10分、15分ごとに確認し、マインドフルネスやモチベーション、集中力を養うのを助ける必要がある生徒もいるかもしれない。しかし時が経てば、ほとんどの生徒は1日数回の確認で済むようになる。重要なのは、生徒が自分で助けを探す方法を見つけるまでは、行き詰まるたびに先生やチューターまたは仲間の助けが必要なことだ。自主学習モデルでは、生徒が自主的に学習する方法を習得する段階で間違いを犯すのを先生は辛抱強くじっと待つ必要がある。


自主的な学習とは、切り離されて孤立した学習を意味するものではない。生徒が自主学習する中で、先生の指示や直接指導が学習の核ではないだけだ。従来の指導では、先生の存在が制約となって先生が教えなければ学習はほとんど進まなかった。対照的に、教材学習がより生徒主導になると、先生の役割は変わり、先生は学習プロセスの管理者となるのだ。



0 件のコメント:

コメントを投稿