2020年10月29日木曜日

オンライン学習のプラス面

In some ways, kids are better off with distance learning

コロナウイルスの大流行により、家庭学習は一部の人々の活動から瞬く間に世界的な現象へと拡がった。この壮大な教育実験が展開されている中、私は研究者としてだけでなく、自らの子どもたちとの経験を観察するという興味深い幸運に恵まれた。家庭学習は間違いなく我が家に苦労をもたらしたが、私、妻、そして3人の子どもたちにとっては、嬉しいプラス面もあった。

はっきり言って、オンライン学習は多くの家族にとって苦難であり、私の家族も普通の状態ではない。にもかかわらず、学校が再開された後に我が家の経験をすべての家族と共有できるようにするには、どのようなことが必要なのだろうか、と考えた。以下に、私たちが経験した前向きな点をいくつか紹介し、これらの利点がコロナ後により一般的になる可能性について議論したい。

学校を家族の活動に組み込む

コロナ前には、親として、子どもが学校で何を学んで何を経験しているのか、よくわからないと感じていた。金曜日に持ち帰るフォルダや学級通信、保護者面談、通知表などでは日々の様子が垣間見えるだけで、子どもに「今日の学校はどうだった?」と聞いても欲しい情報が得られることは稀だ。

今では、すべての学習が家庭で実施されるため、子どもたちが毎日何に取り組んでいるのか知ることができる。普段は子どもたちが学校で学んでいることを、家族の活動や経験と結びつけることができるようになった。

例えば、科学の学習で天文の授業があったとき、私は金曜夜に裏庭に望遠鏡を出し、土星の輪や惑星を眺めるようにした。一番上の子がジョン・グレンの歴史的な最初の宇宙飛行に関する本を読んだ後、私たちは歴史的な初の有人宇宙船SpaceXドラゴンの打ち上げを一緒にライブで見て、2つの出来事の意味について語り合った。

正解の追求を抑える

我が子の一人は、春学期のオンライン学習である歴史上の出来事について一次資料と二次資料を読んで、ワークシートで比較対照するという課題に取り組んだ。この課題では、一次資料の中で「主な考え方とその根拠となる詳細」を簡単に見つけることができず、ワークシートの空欄をどのように埋めてよいか分からずイライラして涙を流していた。

その彼を指導して気になった点は、課題の「正解」を得ることばかりに気を取られて、課題に取り組むことで何を学べるのかを理解していなかったことだ。彼には、先生はおそらく課題の正解を得たかどうかよりも、課題に取り組む思考や洞察の方を重視しているのではないかと説明した。その後、一次情報源と二次情報源の違いについて大いに議論し、議論が終わる頃には、ワークシートを容易に完成させることができた。

自己管理を学ぶ

この春学期のコロナ禍の最中に、妻は子どもたちと一緒に一日の大まかな時間割とやるべき課題のチェックリストを作成した。時間割とチェックリストには、学校の勉強だけでなく、家事、ピアノの練習、運動、読書の時間なども含めた。学校が終わって夏休みの間も、毎日のチェックリスト作成を継続した。

秋学期の最初の2週間を終えた今、何時に起き、何時に学校の勉強を始め、何をすべきか、子どもたちに指示する必要がなくなったことに満足している。子どもたちは、毎日の課題を選び出す方法を知っており、最初に何に取り組み、いつ休憩を取り、学校の勉強と家事、その他日常活動をどう割り振るかなどを自分で決めている。

従来の学校では、子どもたちは静かに座って何をするのか誰かが教えてくれるのを待つという姿勢になりがちだった。それとは対照的に、子どもたちは今、大人になってから必要になるであろう自己判断や自己管理のスキルを学んでいる。例えば、一番難しい課題を先にやることを学んでいるので、一日の終わりまで先延ばしすることなく、その日のうちに片付けることができる。

学習者中心の学びの可能性

オンライン学習では、子どもたちの教育が従来より学習者中心になっていることが素晴らしい。課題や学習活動で追加の時間や支援が必要に応じて与えられる。課題を早く終わらせれば、先生や他の生徒が次の課題に進む準備が整うまで待たされることもない。子どもたちは、科目の要点を学ぶだけでなく、これまで以上に興味のあることを学び行動するための時間とエネルギーを取ることが可能だ。学校の勉強と生活の中で起こる非公式な学習の境界線が曖昧になっている。さらに、順番付けやクラスメートとの比較など、従来の学校教育では一般的な制度化された規範や、空気を読むことが良い行動だと見なされること、そして一日の動きを大人に指示されるのを待つこと、などを経験することはない。

繰り返しになるが、多くの家庭が今、オンライン学習で苦労していることは十分承知している。妻と私の柔軟な考え方はほとんどの家庭で現実的ではないので、一般的な解決策として提示はしない。しかし、学校が完全に再開された後でも、私たちが経験した学習者中心の側面をすべての家庭でも活用できるようにするにはどうすればよいのかと考えている。

全米各地で誕生しているポッド、マイクロスクール、ホームスクーリングは、一見単なるその場しのぎの解決策のようだが、保護者が仕事をしている間に子どもたちを見守ってくれる人が必要だから利用されている。あるいは子どもたちが一日中家で勉強していると友達と遊んだり余暇の活動ができなくなるのではないかと心配している。オンライン学習とポッドを組み合わせたような仕組みが、現実にはコロナ後に追求する価値のあるモデルになるのではないかと考えている。


何年もの間、学校をより学習者中心にしようとする努力は、従来の教育方法、時間割、バッチ処理、ランク付け、生徒の分類によって脅かされてきた。初等中等教育における現在の壮大な実験は、全く新しい方法で学習者中心の学びを促進するための転機になるかもしれない。


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