2020年7月30日木曜日

学校の再開が不確実な状況で検討するブレンディッド・ラーニングの3モデル

Revisiting Blended Learning Principles, With School Plans in Limbo
アメリカでは、秋の新学期に再開される学校があっても以前と同じ状態には戻れない。おそらく生徒は交代で通学しなければならず、総合的な教育機会を提供しようとする学校は多くの課題を抱えるだろう。




学校教育の形を新たに設計することは一見大仕事のようだが、目新しいことではない。時間・空間の使い方や人員の配置を見直すために、10年以上前から多くの学校がオンライン学習と対面指導を融合したブレンディッド・ラーニングを導入している。

ブレンディッドラーニングには様々なモデルがあるが、教育者は次のような疑問を持つだろう。ブレンディッドラーニングには様々なモデルがあるが、教育者は次のような疑問を持つだろう。

  • デジタル技術の活用によって、生徒が一人でも上手く学ぶことができるのは何か?

  • どのような学習活動を教師と一緒に行うことが最も重要か?

こうした疑問については、学校の物理的な課題に対して以下3つのブレンディッド・ラーニングのモデルがどのように役立つか、優先順位、ニーズ、利用可能な資源に基づいて考えるとよい。学校が作成する時間割は、登校生徒の人数を制限するための単なる人員配置計画であってはならない。オンラインと対面の両方の学習を最適化するための資源と時間割の再考に、ブレンディッド・ラーニングがいかに役立つか考えてみよう。


反転授業は自律学習とクラスでの学習を最大限に活用する

反転授業は、従来の授業と宿題の関係を逆転させたブレンディッドラーニングモデルである。生徒はオンライン教材やビデオ演習を通じて自宅で学習し、学校の授業では教師が指導する演習やプロジェクトに集中する。

反転授業モデルは、生徒が毎日学校へ来て終日授業を受けることを前提とするため、コロナ禍への完全な対策とは言えない。とはいえ、このモデルの基本原則は、コロナ禍の期間中にオンライン学習を実施することに対して本質的な疑問を呈する。すなわち、どのような学習が一人向きで、逆に集団で学習することに適しているのは何か? その答えによって、対面であろうがオンラインであろうが、教師は生徒とともに過ごす時間を最大化することができる。

オンライン学習用の教材は,生徒が基本的な事実やスキルを一人で学ぶには効果的だ。教師が個人または学年や学科のチームで作成するビデオは、基本的な内容を効果的にカバーしている。加えて、生徒は必要に応じてビデオを速めたり遅くしたり巻き戻すことも可能だ。小テストやアダプティブな学習ソフトは、学習内容の復習や基本的な練習問題を提供し、即座にフィードバックを返す。つまり、Bloom's TaxonomyやWebb's Depth of Knowledgeのフレームワークの下位レベルにある基礎的な学習に関しては、その多くが優れたオンライン教材があれば独力で実行することが可能だ。

生徒の理解を深め、人間関係を強化し、学習を有意義なものにする活動のために、通常先生は対面授業の時間を確保する。なかでも、クラスでの話し合い、グループでのプロジェクト共同作業、高次の思考力のフィードバック、生徒の理解不足を解消するための集中指導などの優先度が高い。


Enriched Virtualモデルは生徒が定期的に通学する場合に最適

このモデルでは、反転授業の要素をさらに一歩進めてオンライン学習が中心になる。生徒は完全なオンライン学習用教材を使って、学習のほとんどを自律的に進める。

このモデルに沿ったプログラムでは、生徒がすべての連絡やコース教材にアクセスしやすく、教師の指示やファシリテーションが最小限で済むことを最優先にしている。生徒が週に2、3日しか登校しないことを想定している学区に適している。

反転授業と同様、Enriched Virtualモデルも限られた対面授業の時間を優先することを奨励している。教師は、学習内容を教えるために時間を使うのではなく、生徒の自律的な学習を妨げている特定の課題(学習内容の理解不足、逆効果の学習習慣、社会的・精神的な問題など)に対処するために、生徒と一緒に過ごすわずかな時間に集中することが多い。

コロナウィルスが流行している間オンライン環境に恵まれない生徒もいることから、教師が生徒の学習課題を特定し、それに対処することに集中して対面で時間を過ごすことができるモデルは、これまで以上に重要な価値ある。


アラカルトでは主要科目・コースの授業時間を優先する

アラカルトモデルは、学校に通う生徒が複数のコースをオンラインで受講するブレンディッドラーニングである。生徒は通常、時間割を柔軟に運用することが必要な場合や、アラビア語、音響制作、発展心理学など通学校では提供されていないコースに興味がある場合に、アラカルトを選択する。

コロナウィルスが大流行している間、学校は限られた校舎空間を活かすため、アラカルトコースの提供を検討することが可能だ。反転授業やEnriched Virtualモデルで自律的な学習活動と対面授業をどのように割り当てるのが最善かを慎重に検討するよう求められるように、アラカルト・モデルも学校や学区の指導者に、どの教科やコースをオンラインまたは対面で提供するのが最善かを考えるように促している。

例えば、学校管理職は、英数理社など中核科目に集中的に対面授業の時間と労力を使い、その他の科目は完全なオンラインで提供することも決定できる。あるいは、落ちこぼれそうな生徒、自宅ではネットへのアクセスが不十分な生徒、両親が医療従事者である生徒など、対面でのサポートを最も必要とする生徒にはより多くの学校内授業を提供し、学習ニーズや家庭環境がオンライン学習に適している生徒には、主にアラカルトのオンラインコースを提供するという方法も考えらる。

来年度一年間、生徒と教師がどのくらいの時間を一緒に過ごせるかはまだわからないが、何があっても、ここで紹介したブレンディッド・ラーニングの原則と実践は、教師がそれぞれの状況を最大限活用する方法を考えるのに役立つだろう。


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