2019年5月21日火曜日

個別学習導入には「時間」の見直しを


学校で個別学習を導入する際に、テクノロジーや教員研修などの課題を検討することは勿論だが、忘れられがちな要素が「時間」だ。やることが増えるのだから単純に時間も増えると思うかもしれないが、個別学習を大規模に実践するには時間の節約につながる新しい方法を考えると同時に、時間の使い方そのものを大胆に見直す必要がある。

以下、個別学習導入に欠かせない時間の使い方に関するポイントを3点述べる。

1)時間割を見直す
現行のシステムでは、コースの一貫性を重んじるあまり厳格な時間割が指導の革新を妨げるリスクがある。これを避けるには、時間割の作成に全く新しいプロセスを開発し、学生と教員はどこに時間を費やすべきかを見出すツールを探すべきだ。

2)教員の事務作業を軽減する
テクノロジーは教材の配信だけでなく教員の事務作業の効率化にも有効だ。例えば、学生の出席確認など教員の貴重な時間を奪っている作業の負担を軽減するソフトもある。しかし、こうした作業自動化ツールを使いこなすには、教員の事務作業を軽減する様々なテクノロジーを導入しても、それらが齟齬なく稼働するようシステムの増強が必要だ。

3)教員の時間を見直すツールとしてブレンデッドラーニングを検討する
ブレンデッドラーニングは学校での時間を有意義に使えるよう再編成するのに有効だ。ブレンデッドラーニングで教材の一部をオンライン配信に替えることで、教員は教室での学習時間を最も有効に使うように再検討できる。少人数や1対1での指導を増やしたり、プロジェクト学習に導いたり、学生に有意義なアドバイスをするために個別に学業評定することさえ可能だ。
ただし条件によってはブレンデッドラーニングが有効に機能しないこともあるので注意が必要だ。テクノロジーの出来が期待を裏切ったり、テクノロジーによる効率化を十分に享受できる教室環境が整っていない場合などだ。特に、教員自身でブレンデッドラーニングの配信教材を作成すると、初期コストが増加する。学校で人員や時間が不足しているならば、よりピンポイントで学生を指導できるようソフトを活用して教員の時間に余裕が出るよう設計すべきだ。

時間の使い方を再考しない限り、学習の個別化に向けていくら努力してもただ新しいツールや戦略が使われずに積み上がるだけだ。個別学習の導入を検討する際には、学生の時間割変更に伴うプラスマイナスを議論するだけでなく、学校全体がシステムとしてどう時間を割り振るか熟考する必要がある。言い換えれば、個別学習を長期的に成功させるには、指導方法の変革を保護し促進するような学校レベルでの大胆な構造改革が不可欠なのだ。

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