2019年11月28日木曜日

学校と家庭の密接な協力が学業成果に大きな影響

"Strengthening Connections between Home and School Can Make A World of Difference for Students"

教員にとって年度初めに業務計画を作る際に重要な仕事の一つが、生徒の家庭と良好な関係を築いて生徒の学校外での様子を知ることです。
システムのパフォーマンス最適化を解き明かすモジュール理論に基づけば、家庭と学校を一つにすることが学業成果を上げる重要な鍵なのです。しかし、両者の関係を構築するには、学校は教員の役割と責務を改めて見直す必要があります。

モジュール理論によると、システムのパフォーマンスを改善する最も直接的な方法は、最も大きな影響を与える部分を統合することです。これが、アマゾンが航空機とトラック、ドローンによる統合輸送部隊を誕生させた理由です。出荷物流を注文処理および在庫管理と統合することで、信頼性の高い翌日配達が可能になります。本来はソフトの会社であるマイクロソフトが、タブレット用ハードの開発を独自に始めた理由もこれです。ハード面の開発を他社に依存していては、優れた次世代コンピューターは設計できませんでした。

同じことが教育にも当てはまります。 学校と家庭の両方における生徒の経験が学習に影響します。学校は学びの場としては正式なものですが、家庭環境が学業達成度の最大の
要因であることが過去数十年の研究で判明しています。これらモジュール理論と経験的研究の両方ともが、学業成果の大部分が、学校と家庭を統合するより良い方法を見つけることから得られることを示唆しています。

教員と家庭との間にどのような協力が可能か考えてみましょう。チューター、プロジェクトや遠足のコーディネーター、ゲストスピーカーなどのボランティアを家から教師が日常的に受け入れている学校が思いつきます。同時に、仕事の時間その他の関係で多くの家庭が日中に連絡することは難しいので、教員は放課後に家庭訪問をし、その後メールや電話、ビデオチャットなどで定期的個別に思いやりある連絡をすることも可能です。

家庭と教員が連絡を密にすることで、生徒が成長するためには何が最も必要なのか両者とも理解できるでしょう。学習面で悩んでいる生徒には、学校外での社会的、感情的な背景を理解することで、その生徒のニーズによりよく応える提案をできるかもしれません。同様に、子どもが学校で苦労しているのではないかと思えば、保護者は状況をよく読んで協力的な解決策を見つけるために教師と連絡を取るのに何の問題もありません。その他の利点を考えると、そうした教師と家庭の密接な連絡と関係は、人種的、民族的または社会経済的背景の異なる家庭と教師の間の緊張と誤解を解消するのではないでしょうか?

このように様々な利点があるにもかかわらず、家庭と学校をつなぐ努力には大きな限界があります。学校は、アマゾンがトラックや飛行機を所有して経営するようには、家族を運営することはできませんし、すべきでもありません。 学校は家族の収入を増やしたり、家庭の問題を解決することもできません。しかし、教員を制約する本当の課題は時間です。 家庭と学校を一つにするには、年二回の保護者面談、宿題ノートへの署名、問題が発生したときの家庭訪問などが必要です。両者が深い関係を構築し、お互いに学ぶ必要があります。学級担任や学校運営にかかわる多くの業務をこなすだけで、教員には生徒の家庭と連絡をとる時間はほとんど残っていません。

1日を48時間にする魔法はありませんが、次善の策として教師のキャパシティを拡大する技術を活用できます。

電子レンジや洗濯機、食洗機のおかげで忙しい両親が子供と過ごす時間を持てるように、教師には家庭とともに費やす時間をより多く取れるような技術的解決策が必要です。幸いにも、教師の時間節約を実現する技術は簡単に入手できます。効率的に課題を配布・収集したり、基本的な理解を確認する小テストを採点したり、学生の学習ニーズに合わせたオンライン練習問題を提供したり、学生の学習目標に沿ったレッスン内容を見つけたり、小論文を採点する際に一次的な合否判定をすることさえ可能です。こうした技術革新の中でも最も時間を節約するのは、教師を毎年同じ内容の講義を何年も繰り返す教務から解放するものです。

一例として、ワシントンDCの2人の教師は、講義ベースの授業に代えてオンラインビデオを作成しました。授業の大部分を自動化することで、授業時間の多くを基礎学習で苦戦している生徒を指導したり、生徒との関係を構築することに使うことができます。 同様に、時間の一部を保護者との面談やその他家庭との関係を構築するための活動に割り当てることができます。

この他にも、ソルトレークシティにある高校で約40人の生徒を担当している教師は、少なくとも週1回は学生と面談して、学業目標に向けた計画作成と進捗状況を注視したり、学習習慣について指導したり、大学への出願書類についてサポートしたり、友人や他の教師との問題を解決するための助言を与えたりしています。そのうえ、生徒の家庭と連絡を取り、学校での指導を家庭でのサポートと統合します。革新的な教師は、こうした指導責任の時間をどのように捻出しているのでしょうか? 学生は、学習の大部分を教師によって選ばれたオンラインの学習課題を通じて片づけてしまいます。こうして教師は、オフィスアワーや予定外の学生指導、面談などに浮いた時間を使えるのです。

家庭と学校のつながりを強化することは、生徒の生活に大きな違いをもたらすことができます。究極的には、家庭と学校を一つにすることは教師のキャパシティーを拡げることによって実現できます。テクノロジーはそれを実現するための鍵です。

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