2019年11月8日金曜日

ブレンディッドラーニングの5つのトレンド

"5 Blended-Learning Trends to Watch"

クリステンセン研究所では、過去10年にわたり学校がブレンディッドラーニングを導入してどのように対面授業とオンライン学習を統合し、学習の柔軟性と学生の主体性を確立するか調査してきました。
学習者中心の教育に対する支持が増えるのにしたがい、学校現場ではブレンディッドラーニングと他の革新的な教育をどのように組み合わせているのでしょうか?

こうした疑問を解くために、クリステンセン研究所では
様々な方法で学習者中心の教育に邁進しているより多くの学校を発掘する「キャノピー調査プロジェクト」を立ち上げました。76の教育関連組織と173の学校を対象に学校改革に関するデータを収集し、その分析結果を発表したところです。

このデータベースには、ブレンディッドラーニングを導入している学校が89校が掲載されています。これは、キャノピー調査全体の過半数を占めて全米25州に広がり、テキサス、ニューヨーク、アーカンソーが上位3州です。こうしてデータを分析した結果、今年2019年はブレンディッドラーニングに以下5つの傾向が見られました。

1. 最も多く採用されているモデルはステーションローテーション

キャノピー調査の対象校のうちブレンディッドラーニングを導入している学校をさらに7つのモデルに分類すると、ステーションローテーションが最も多く(51%)、フレックスがほぼ同じ46%を占めています。最も少ないのはアラカルトです。アラカルトは実際には中学レベルでかなり広く導入されていますが、多くの教師がアラカルトをブレンディッドラーニングではなく、単なる「オンライン学習」と認識しているため結果的には低い数値として反映されているのではないかと推測しています。また、複数のブレンディッドラーニングのモデルを導入している学校が多いことも特徴です。全体の62%の学校が2つ以上のモデルを申告しています。こうした傾向は、クリステンセン研究所が実施してきた近年の調査とも一致しています。

2. ブレンディッドラーニングと自律学習は車の両輪

ブレンディッドラーニングを含む学習者中心を志向する12の高レベルの教育アプローチのうち、最も多く採用れているのは自律学習でした。キャノピー調査では、学習者自身が学習目標を設定し、目標に向かって自主的に行動を起こして成長を振り返ること、すなわち学習者自身が学習について主導権を握っていることを自律学習と定義しています。自律学習を実践していると申告した学校のうち約半分(52%)がブレンディッドラーニングを導入しており、逆にブレンディッドラーニング導入校の76%もが自律学習を実践していると申告しています。ブレンディッドラーニングと自律学習の関係についてより詳しく理解するには更なる調査が必要かもしれませんが、当面は、大多数の学校で自律学習が実践されている一方で、それをサポートするためにブレンディッドラーニングを導入しているのは半数に過ぎないと仮定しましょう。クリステンセン研究所の調査では、ブレンディッドラーニングを導入することで学習の時間、ペース、方法、場所を柔軟に選びかつ大規模に展開できることが判明しているので、各学校がどのように自律学習を実践しているのかより深く知りたいと思います。

3. ブレンディッドラーニング導入校では学習者主導の目標設定が常態化

キャノピー調査では、学校現場での実践をより具体的に識別するために76個の分類タグがあります。ブレンディッドラーニング導入校の中で最も多く採用されている実践は、学習者自身が目標設定と進捗評価をする学習者主導の目標設定(82%)でした。ブレンディッドラーニングの他に特定された実践としては、複数回の目標達成を示す機会、すべての学習者に厳格なコースワーク、戦略的計画における子ども全体または社会的感情的学習へのコミットメント、および関連性があり文脈化された学習課題でした。

4. ブレンディッドラーニング導入校の多くがデータを活用していない

クリステンセン研究所による調査で判明したことの一つは、ブレンディッドラーニングの最大のメリットは教師が学習を大規模にカスタマイズできるようになることです。ブレンディッドラーニングにおけるオンライン学習は、学習者に個別のデータや迅速なフィードバック、そして自由な学習方法を可能にします。教師の側も、収集された学生のデータを見て、学生をグループ分けしてそれぞれに相応の課題を与えることが可能になります。要するに、オンライン学習からのデータを活用することは、学習者中心の教育を推進する有力な可能性を秘めているのです。

ところがキャノピー調査では、ブレンディッドラーニング導入校の約半数(53%)しかデータ分析を活用した指導を実践していないことが判明しました。同様に、45%しかアダプティブなコンテンツを利用していません。この点については更なる分析が必要かもしれませんが、キャノピー調査では多くの学校が学習をカスタマイズする手段としてブレンディッドラーニングを活用する重要な機会を逃していることを示唆しています。

5. ブレンディッドラーニング導入校の現場では学習の個別化と柔軟性を重視

キャノピー調査の対象校は、自校のどのような点が他の多くの学校と比べて優れているのか自前の言葉で説明しています。注目に値する理由としてブレンディッドラーニングがどのように貢献しているかについて、「学習の個別化」、「学習者中心の学習」、「上級コースへのアクセス」、「新たな学習機会」、「学生の声と選択」、「柔軟な学習体験」、「教師によるリーダーシップ」そして「意図的な指導時間」があげられました。

もちろん、学習に関するこうした改善を達成するためのアプローチとして、ブレンディッドラーニングが唯一の方法ではありません。キャノピー調査の結果とデータを参照して、学習者中心の学習を実現するために、各学校があらゆる革新的な戦術を頻繁に採用していることを確認してください。また、ブレンディッドラーニングを設計する実用的な手順の詳細については、BLUをご参照ください。

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