ここ数年、教育現場ではMOOCの利用が非常な勢いで広がりを見せています。実際、UdacityやedX、またはCourseraといった大手の名前をよく耳にします。しかし、世界最大の
MOOCと言えるのは、一般的には服や靴のディスカウントストアとして知られるGoodwillかもしれません。同社は世界有数の人材開発組織で、職業訓練に利用しているMOOCの規模が世界最大級なのです。
2018年には、Goodwillが英語、スペイン語、ポルトガル語で提供するオンライン講座を3,100万人以上の人々が受講しました。これは驚くべき数字で、受講者数が3,700万人のCourseraに肉薄し、Udacity(1,000万人)とedX(1,800万人)の合計を上回るのです。無償で職業訓練を提供しているGoodwillが世界最大のMOOCとなる日も近いでしょう。
世論調査の結果から、世界の人々が何を最も望んでいるのかは明白です。良い仕事です。世界には、仕事に恵まれない人が18億人もいます。アメリカのある調査によれば、成人が教育を重視する最大の理由は、生涯学習や知的好奇心といったものではなく、良い仕事を得るためなのです。この点でGoodwillは他のMOOC大手と一線を画しています。
Goodwillが提供する講座の内容を見れば、なぜこれほど多くの人々に利用されているのか理解できます。読解から数学、金融、個人ファイナンス、さらにはコンピューターやインターネットの基礎からオフィスのようなソフトの習得まで非常に幅広い分野に及んでいます。こうしたオンライン講座は、就職斡旋やキャリア相談。さらにはリハビリプログラムなどGoodwillが合計210万人に対面で提供している地道なサービスの延長線上にあります。いまや良い仕事を維持するには生涯学習が必須であることをGoodwillは良く理解しています。そのため、受講者が新しい仕事に必要なスキルを得られるよう常にカリキュラムを更新しています。アメリカでは200人に一人はGoodwillを通じて採用されています。
最近、MOOC各社は学位や資格の提供に注力しており、有料化される講座も多くなりました。また、企業との提携講座も増えてきました。こうした動きはMOOCが持続可能なビジネスモデルとして生き残るには必要でしょう。一方Goodwillは、高い動機を持ちながら実現手段を持たない人々を手助けすることに特化しています。良い仕事を強く望みながら経済的に教育を受ける機会に恵まれない人々のための無料講座こそがMOOCの本来的なモデルなのではないでしょうか。Goodwillが世界で教育を最も必要としている人々に無料でサービスを提供し続ける限り、世界最大のMOOCになることは間違いないでしょう。
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