個別学習には様々な様式があるが、学習カリキュラム以外の点でしばしば見過ごされがちな点がある。以下に3つのポイントを記述したい。
1)教師と生徒との人間関係
最新のアダティブ学習を実践しているクラスでさえ、初等中等教育では生徒の学習体験に最も大きな影響を与えるのは教師である。したがって、「個別化」において最も重視されるべきは、生徒と教師との一対一の関係だ。個別化された学習を提供する学校では、新しいテクノロジーや指導方法ばかり追求するのではなく、優れた教師との人間関係を深める方法についても慎重に検討する必要がある。チームによる指導を導入記述することで、多くの目が行き届き生徒が横道にそれるのを防ぎ、生徒が少なくとも一人の大人と強く前向きな関係を築く可能性を高め、かつ相性の悪い先生と過ごす時間を減らすことができる。サポートスタッフが小グループ指導を通じて生徒を個別に支援することも学習の個別化を促進する。学習の個別化でよく利用されるブレンディッドラーニングは、教師がその時間と才能を最も効率的に使うことを可能にする。授業の一部をオンライン学習に委ねることで、教師は授業内容について心配することなく、生徒の個別ニーズを対処することができる。また生徒の進捗状況を把握するソフトを利用すれば、教師は学習計画をより個々の学生のニーズに適したものにすることが可能になる。
2)非学習要素の個別化
個別化はカリキュラムやソフトの見直しだけを意味するのではない。生徒に対する支援内容や人間関係の個別化も必要だ。デジタルデータだけでは学生とその家族まで知ることはできない。今日では、学習カリキュラム以外のものまで総合的に含めた「統合的生徒支援」が重視されている。保健サービスの充実や家族との関係を強化しても、それが学習面とリンクしていなければ意味がない。最も成功している統合サービスでは、教師が統合サービスの輪の中に入ることで生徒の家庭状況まで考慮している。貧困救済と放課後サービスを学校教育に統合することで著しい成果を上げている例もある。こうした事例は、個別学習が個々の学習データに基づいているのと同様に、長期的な視点に立った質の高い非学習データに依拠することも重要であることを示している。幸いにも、こうしたデータに基づく実践を可能にするツールが登場している。
3)デジタルを超えて
テクノロジーを使わずに学習を個別化するのは大変な作業だ。しかし、従来の集団一斉型授業にテクノロジーを導入したところで学習の個別化は実現しない。授業の方法や生徒の学習方法を何ら変えることなくテクノロジーだけを導入することは可能だ。ブレンディッドラーニングが本質的な変革をもたらすには、教師は生徒に学習目的と関連事項を正しく理解させ、一貫して戦略的な成績評価を採用し、生徒が学習目的に到達するまでの明白な道筋を示さなければならない。テクノロジーの無い時代にもこうした努力はされてきたが、テクノロジーの助けを借りたブレンディッドラーニングを採用することで、こうしたアプローチを大規模に展開することが可能になった。
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