2019年3月27日水曜日

ウォールストリートの投資銀行、新卒採用制度を変更


世界有数の投資銀行JPモルガンは、毎年恒例の新卒採用のための大学訪問を取り止め、その代わりに今後はビデオインタビューや行動科学に基づくコンピュータテストを受けさせると発表した。
マイノリティやこれまで手の届かなかった大学へ通う学生にも広くインターンの機会を与え、学生の多様性を十分に確保することが目的だ。


行動科学に基づくテストでは、学生の社会的、認知的かつ行動的要因を幅広く分析し、その結果を優秀な社員の行動パターンと照会する。ビデオインタビューは、多くの銀行を含む700以上の企業ですでに導入されている。こうした新しい手法は、各地域の採用イベントで本社スタッフが学生と直接面談する前段階で候補者を選別するために利用され、有力な学生には担当のメンターまたはガイドが割り当てられる。最近の学生は、キャリアイベントに来るとは限らないので、こうしたツールが開発された。


JPモルガンでは主に大学2年生(一部3年生)を対象にサマーインターンを実施し、何千人もの応募者の中から数百人を選んでいる。募集時期が早すぎて準備が間に合わないと訴える学生が多いため、学生がキャリアについて熟考できるよう十分な周知活動をするようにした。これまでは、インターンの始まる1年3ヶ月前の大学1年生の4月(年度終盤)にオファーを出していたものを、現在は前年の6月から9月まで申し込みを受け付け、年末までに選考、結果が通知がされている。今年の夏も申し込みが殺到することが予想されるため、入社1、2年の若手社員による職場紹介短編ビデオを作成する予定だ。


なお、JPモルガンの商業銀行部門や資産運用部門では投資銀行部門で導入されたこうした採用制度の変更はせずに、当面は従来通り大学訪問を続ける予定だ。


このようにアメリカでは大手企業が率先して採用の多様化、個別化を図っており、学生側にも能動的なアクションを求めているようだ。翻って日本では、いまだに中央政府が新卒採用のガイドラインを定め、それを財界団体を通じて学生に遵守させるという発想が消えないようだ。


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