アメリカの初等中等教育で急速に広まっているブレンディッドラーニングだが、クリステンセン研究所では大きく7つのモデルに分類している(Blended Learning 概要 ご参照)。勿論、これらがすべてではないが、これをベースに以下ブレンディッドラーニングにまつわる誤解を解いてみたい。
×1 ブレンディッドラーニングは排他的である
ブレンディッドラーニングは、他の革新的な教育法を補完こそすれ邪魔になることはない。例えば、学習者が自分のペースで進めるので習熟度教育を可能にし、より多くの時間を学習者主導のプロジェクトに助言することでPBLを補完する。実際、コロラドスプリングスにある小学校では、習熟度に基づいた個別指導システムを構築するためにステーション・ローテーションおよび個別ローテーションモデルのブレンディッドラーニングを導入した。
×2 個別学習とブレンディッドラーニングは別物である
すべての学習者に家庭教師が付けばテクノロジーがなくても個別学習は可能である。しかし、現実的に個別学習を大規模に展開するにはブレンディッドラーニングが強力な武器となる。学習者が学習の方法や時間、ペース、さらには場所までも自己管理することで、教師は学習者との人間関係構築など非技術的な側面により多くの時間を割くことができる。Freedom Elementaryでは、教師の個別サポートとデジタルツールを併用する習熟度ベースのブレンディッドラーニングを通じて個別化を実現している。
×3 ブレンディッドラーニングでは一日中パソコンの前に座っている
ブレンディッドラーニングでは学習者自身が最善の学習方法を選択できるため、パソコンで個人学習をする時間もある。しかしそれは、効率的なパソコン学習により浮いた時間を協働学習に回せるなどのメリットを生む。ブレンディッドラーニングのフレックスモデルを導入しているワシントン州の高校では、生徒たちは各自のニーズに応じて柔軟な時間割を組み、デザインラボから学際的な研究プロジェクト、そしてインターンシップまであらゆる種類の学習が実施されている。
×4 テクノロジーを利用した学習はすべてブレンディッドラーニングである
どんなに多くのテクノロジーが装備された学習環境であろうと、伝統的なシステムや構造を補完するだけで、時間と空間の壁を解放して個々のニーズに合わせた学習が実現されなければ意味はない。ブレンディッドラーニングのなかでもステーション・ローテーション、反転教室、ラボ・ローテーションは、新しいテクノロジー(オンライン学習)と古いデザイン(伝統的な集団授業)を組み合わせたハイブリッドモデルであり、従来の基準で既存のシステムを改善する持続的イノベーションである。伝統的な教室のシステムを根本的に見直す破壊的なイノベーションの実例としては、生徒が自宅や学校外でオンラインにて学習の大部分を完了し、必要に応じてスクーリングを実施するエンリッチドバーチャルモデルのブレンディッドラーニングを導入したニューヨークとロサンゼルスの高校がある。
×5 フレックスモデルは究極のブレンディッドラーニングである
フレックスモデルでは、学習者は個々のニーズを満たすよう流動的な時間割を組むことができ、教師は生徒のニーズに応じて柔軟にサポートを提供する。このモデルは破壊的イノベーションなので旧来のシステムと明確な一線を画することができるが、段階的に導入しなければすべての学校や教室、特に小学校では実践が容易ではない。一方、ローテーション・モデルのような持続的イノベーションでは、従来の集団授業より柔軟な学習オプションが選択ができ差別化が可能である。
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