ハードにせよソフトにせよ、ICT導入に際して最も重要な点は、あくまでも「教育理念」や「指導方針」が先行するということです。まず最初に学校が掲げる目標や抱える課題に対するカリキュラムを構築し、次にそのカリキュラムを実行させる組織(ヒト)を編成します。最後に、カリキュラムを実現するためのICTの導入や空間(モノ)の整備に取り掛かります。
教室をICTで重装備することが目的化され、「教科書と鉛筆」を「タブレットとタッチペン」に、「黒板とチョーク」を「パワポとプロジェクター」に置き換えさえすれば、「21世紀の教育だ」と早合点しているケースが多いようにも見受けられます。しかし、一人に1台ずつタブレットを配布することや特定科目の学習ソフトを導入することはあくまでも教育上の目標を達成するための手段にすぎないことを念頭に、ベンダーに丸投げして実装さえ済めば終わりとならないよう注意する必要があります。
学習空間には、机やイス、本棚といったハード面からネット環境やオンライン教材といったソフト面まで、リアルなもの、バーチャルなもの様々ありますが、なかでもデバイス、学習ソフト、学習管理システムなどオンライン学習に不可欠なICTは、ここ10年で改善され飛躍的に使い勝手がよくなりました。インターネットへのアクセスも多くの学校で整いつつあります。
しかしながら、時代遅れの校舎のなかで一貫性のない雑多なデバイスに埋もれ、互換性の低いソフトやアプリに囲まれてオンライン学習環境を的確に構築し運営することは容易でないことも事実です。こうした「ハイテク混乱」を避けて、技術や設備への戦略的投資を合理的に計画するために、まずは現在使用している学習ソフトやデバイスについてそれぞれ現状を正確に把握し、学校にある既存のインフラを分析しましょう。有効に活用されているものと調整が必要なものを分類することが、21世紀の学習に最適な環境を整備することにつながります。
<共通項目>
- 使用している学級数、生徒数、教師数
<教材>
- 対象学年と生徒(eg. 特別支援、英語指導)
- 科目と導入目的(単元解説 or 演習問題)
- 使用時間数(正規授業 or 補習)
- 購入(開発)価格、使用経費
- 学習計画と進捗状況の可視化機能
- 即時フィードバックの有無
- 問題はアダプティブか、問題レベルの選定は可能か
- 学習履歴データは即時かつ容易に利用できるか、対面指導に直接活用できるか
- クラウドベースか
- 既存のデバイスや他ソフトと互換性あるか
- 対象生徒の何%を実際にカバーできるか
- 手元の学生情報から容易にIDとPWを発行できるか
- シングルサインオンに統合できるか
- 使用期限はあるか
- 使用生徒、教師からのフィードバックを取れるか
- 教師、生徒双方にコミュニケーション手段となりうるか
- 解説およびテスト問題を自作できるか
- 通知表機能はあるか
- データ共有、タグ付け、評価機能はあるか
<デバイス>
- メーカー、製品名
- 種類(ラップトップ or デスクトップ or タブレット or 携帯)とOS
- それぞれの台数
- 耐用年数、経過年数
- 使用生徒・教師の感想
- WiFiの速度(Mbps)
- WiFi 非到達エリアの特定
- コンセントの位置(ブロックされていないか)
- コンピューター教室の有無
- オープンな学習エリアに転用可能な空きスペースの有無
- 単机と長机の数、固定家具と可動家具の種類と数
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