2020年5月16日土曜日

教室を反転させるだけでなく、一日を反転させる

Don't Just Flip The Classroom, Flip The School Day

反転授業、つまり生徒は自宅でオンラインで講義を受け、学校では従来宿題とされていた課題に集中して時間を使うという方法は、8年前に登場した。しかし、ピッツバーグ学区の人事部長の考えでは、それだけでは不十分だ。
今こそ高校生の丸一日を反転すべきだと言う。彼の考えのベースとなっているのは、高校時代に様々な仕事を経験することで、ほとんどの高校生が人生の方向性をより深く理解し、自分の強みや情熱、目的を理解できるようになるということだ。また、学校外でのメンターや職業上のつながり、家族や友人の輪などの社会的資本を得ることができるという専門家の研究もある。

彼の構想では、研究で10代若者の始動時間として適しているとされる朝9時に高校生が出勤して1日をスタートさせ、職場は1学期または1年ごとにローテーションする。半日仕事をした後、ランチ休憩を取り学校へ向かい、課外活動や仲間とのプロジェクトに取り組む。1日の最後は、両親が家にいる可能性が高い夕刻の時間帯に自宅でオンライン授業を受けるが、これもまた、学生は一日の遅い時間帯の授業でより良いパフォーマンスを発揮する傾向があることを示す研究結果に沿っている。ただし、仕事そのものが学習プログラムの一部として組み込まれているため、宿題はない。

学校が現在の形で動いている大きな理由は、多くの家庭にとって学校が預かり場所として重要な機能を果たしているためだと考えられている。長い間、教師から学ぶ唯一の方法は、教室へ行くことであった。しかし、オンライン学習の出現により、理論的にはどこにいても学習できるようになった。すなわち、学生を安全に管理することが鍵となる日中に何をするか自由に決められることを意味する。いずれにせよ、大多数の学生は夕方遅くに学習のほとんどを片づけているのだから、それに抗うより受け入れてみてはどうだろうか?

さらに、一世代前には10代の若者の40%が仕事の経験をしていたのに対し、現在では20%程度に下がっている。高校生の一日を反転させれば、この問題を解決し、生産的な方法で朝の時間を使うことが可能だ。そうすることで、学生は自分の学習が卒業後のキャリアにどのようにつながっていくのか見通すことができ、理想的にはいつ、何をオンラインで学ぶのか、モチベーションを上げるのにも役立つ。そして、学習コースの選択や学習のペースや方法についてまで学生自身のニーズに合わせることができるのだ。

高校生の一日を反転させることは、昨今キャリア教育や職業訓練に対するニーズが復活していることに対して興味深い解決策を提示しているようにも見える。それはまた、高校で勉強か就職かという選択に生徒を追い込むという過去の間違いを繰り返さないことにもなる。

最後に、高校生の一日を反転させることで、高校のカウンセリング機能を大幅に強化することも可能になる。現在、高校のカウンセラーは平均して一人で491人の生徒を担当しており、生徒に有意義なアドバイスをする時間はほとんどない。しかし、生徒を地域社会の仕事に就かせれば、地域社会の人的資源を活用して、生徒が人生の選択をするためのカウンセリングをしたり、導いたりすることができるようになるかもしれない。

もし、こうした実験に全面的に取り組むことが難しい高校があれば、まずは生徒の一部を対象とした試験的取組みとして試すことも可能だろう。試験的取組みにすることで、教室をどのように使用するか変更したり、学生のシフトをより多く設定することができ、学校をこれまでより長い間開けて地域のセンターとして機能させ、生徒は人数の少ないクラスを体験することができるかもしれない。こうしたことをすべてを考え合わせると、高校生の一日を反転させることは意義ある実験のように思える。

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